天文宇宙検定2級ノート 3章3節

広がる太陽系

1781年 天王星の発見

1846年 海王星の発見

1930年 冥王星の発見

1992年 エッジワース・カイパーベルト天体1992QB₁発見。

2005年 エリス(冥王星より大きな天体)発見。

2006年 国際天文学連合冥王星、エリスを準惑星に分類。

 

最も遠い天体・・・太陽系外縁天体2012VP₁₁₃は近日点距離が約80天文単位海王星の2.7倍)で最も遠い天体。ほかにも近日点距離76天文単位セドナなど。これらは円実点距離が数百~数千天文単位あり、公転周期が数百~1万年以上。

 

エッジワース・カイパーベルト・・・海王星より遠くに、たくさんの小天体がベルト状に分布している領域。1950年前後、ケネス・エッジワースとジェラルド・カイパーが提唱。42年後の1992年に初めて天体が発見された。最近では海王星より遠い天体をまとめて太陽系外縁天体と呼ぶことが多い。

オールトの雲・・・オランダの天文学者ヤン・オールトが考案。太陽系を包むように広がる半径1光年ほどの球殻上の領域。

 

太陽系探査機

ボイジャー1号、2号

1977年8月 ボイジャー2号打ち上げ

1977年9月 ボイジャー1号打ち上げ

2021年    ボイジャー1号152天文単位ボイジャー2号126天文単位

300年後  ボイジャー1号オールトの雲に到達予定。

ボイジャー2号が打ち上げられた1970年代後半は、木星海王星で惑星スイングバイを利用できる最高の配置で、176年に一度のチャンスだった。

ニューホライズン

2015年 冥王星に最接近

2019年 カイパーベルト天体アロコスに最接近

2021年 50天文単位

 

太陽の影響力はどこまで?

太陽風は太陽系の中を通る間に少しずつ遅くなり、海王星よりも先になると星間ガスとぶつかって急激に減速し、衝撃波面が形成される。太陽風と星間ガスの圧力が釣り合い太陽風が止まる境界を、太陽圏界面(ヘリオポーズ)という。

ボイジャー1号のデータによれば、2010年6月以降110天文単位のところで太陽風の速度がほぼゼロに。2012年8月以降、125天文単位のところで、高密度のプラズマ領域に入った。この時点で太陽圏(ヘリオスフィアを脱し、恒星間空間に入った。

 

太陽系はどこまで続いている?

太陽風が届く範囲<太陽の引力が及ぶ範囲。

どこまで広がっているかのヒントになるのが彗星。彗星の軌道をぎゃくにたどると、もともと彗星がいた場所が推測できる。→オールトの雲。あらゆる方向からやってくる長周期彗星は、もともとオールトの雲の領域にいたと考えられている。

一方惑星の軌道面とほぼ同じ方向からやってくる短周期彗星は、エッジワース・カイパーベルトからくると考えられている。

太陽の引力が及ぶ範囲はオールトの雲あたりと考えられている。

 

周期彗星・・・太陽の周りを周期的に公転する彗星。公転周期は数年の短いものから、数百年の長いものまでさまざま。周期が200年より短いものを短周期彗星それより長いものを長周期彗星という。

天文宇宙検定2級ノート 3章2節

ケプラーの法則

第1法則・・・惑星は太陽を焦点の一つとする楕円軌道を公転する。

第2法則・・・惑星は、太陽と惑星を結ぶ線分が、単位時間に一定の面積を描くように運動する。→惑星の公転速度は近日点付近で早く、遠日点付近では遅くなる。

第3法則・・・惑星の軌道長半径の3乗と、惑星の公転周期の2乗との比は、どの惑星でも一定である。軌道長半径をa(天文単位)、公転周期をp(年)とすると、全ての惑星についてa³/p²=1となる。→太陽から遠い惑星ほど公転速度が遅い。

ケプラーの法則は、惑星と衛星との間にも成り立つ。

 

焦点・・・楕円軌道は近日点と円実点を結ぶ方向に長く伸びておりこれを長軸という。太陽は長軸上にあるが、その中心には位置しない。太陽の位置を焦点と呼び、長軸の中心に対して太陽とは対照の位置にもう一つの焦点がある。楕円上の任意の点から2つの焦点まで引いた線分の長さの和は常に一定になる。

遠日点・近日点・・・惑星の軌道上で太陽から最も遠い位置を遠日点、近い位置を近日点という。

道長半径・・・長軸の半分の長さ。平均距離とも呼ぶ。

離心率・・・焦点s(太陽)とs’が中心Oから離れている割合。軌道長半径をa、離心率をeとすると、近日点距離はa(1-e)遠日点距離はa(1+e)となる。→離心率0のとき、a(1-e)=a(1+a)となり円を表す。離心率が1のときは放物線を表す。

水星以外の惑星のeは0.1未満でほぼ円に近い。水星はe=0.206

 

万有引力・・・質量をもつ2つの物体が互いに引き合う力。質量の積に比例し、距離の2乗に反比例する。万有引力F=G・Mm/r²

ケプラーがによって経験的に発見された法則を、アイザック・ニュートン万有引力が理論的に証明した。

 

ケプラーの法則ニュートン力学

ケプラーの第2法則は、面積速度一定の法則とも呼ばれる。のちのニュートン力学の、角運動量保存則と同じ意味。

角運動量保存則・・・外から力が働かない限り、回転している物体の角運動量は保存される法則。角運動量L=mrv (m:物体の重さ r:回転する物体の半径 v:速度)

例えばフィギュアスケート選手のスピンは、腕を伸ばすと(半径が大きくなると)遅くなり、腕を縮めると高速回転になる。

 

1年の半分は何日?

春分点秋分点は、地球の公転軌道を二分する点。春分の日秋分の日の日数は1年のちょうど半分になるものと思うが、ケプラーの第二法則により春分から醜聞までの日数の方が少しだけ長い。(春分秋分約186日、秋分春分約179日)

 

満月の月齢は変化する。

満月の月齢は13.9~15.6の間で変化する。

地球と月の間にもケプラーの法則が成り立ち、月が地球に近いときは早く、遠いときは遅く動くため。

新月から満月の間に突きが公転スピードの速いところを通っていたら、月齢は小さくなる。その逆だと月齢は大きくなる。

 

天文宇宙検定2級ノート 3章1節

惑星・・・英語でPlanet。ギリシャ語で「さまよう人」を意味するplanetesからきている。星座の中をさまようように見えることから。

 

惑星の動き・・・順行→留→逆行→留→順行

順行・・・太陽系の惑星は太陽の周りを皆同じ向きに公転している。そのため地球から見ると、西から東に移動していく。これを順行という。

逆行・・・地球も公転しているため、内惑星は時々地球を追い抜き、外惑星は地球に追い抜かれる。その様子を地球から見ると、東へ移動していた惑星が西へ戻るように見える。これを逆行という。

・・・順行から逆行、逆光から順行に変わる時を留という。

 

水・金・火・木・土星の動き

水星・・・太陽に近く公転周期が短いため、日々大きく移動する。1、2か月ごとに西方最大離角・東方最大離角を迎えるので、そのたびに明け方の東の空、夕方の西の空に見られる。

金星・・・水星ほど動きは早くない。宵の明星として夕方の西の空に見えていたかと思うと、数か月後には明けの明星として明け方の東の空に移動している。

火星・・・地球に近いため、約2年2か月ごとの地球との接近のときには動きの変化が大きい。接近の前後(衝のころ)約2か月間は夜空を逆行している様子が見られる。

木星・・・黄道十二星座の中を1年に1つずつ移動し、12年かけて一周する。12年で一回りすることから、中国では都市を表す星という意味の「歳星」と呼ばれていた。

土星・・・約30年かけて黄道12星座を一周する。一つの星座を2年くらいかけて移動するので、何年間か続けて同じ季節に見られる。

 

惑星の見え方

見ごろ

内惑星・・・太陽が地平線の下にある時(日の出前か日の入り後)に見られる。西方最大離角、東方最大離角の頃が見ごろ。

外惑星・・・衝のときに真夜中に南中し一晩中見えるので、衝の前後数カ月間が見やすい。

明るさ

内惑星・・・水星は地球から一番遠い外合の頃が満月状態となり最も明るい。(ただし太陽に近いので観察できない。)

金星は内合と外合で地球からの距離が大きく異なる。内合前後の方が明るく見える。ただし内合のときは新月と同じようにみることができない。最大光度となるのは内合と最大離角の中間くらいで太めの三日月形の頃。

外惑星・・・地球に一番近い衝の頃が一番明るい。

 

・・・外惑星が地球を挟んで太陽と正反対の位置にあるとき

・・・惑星が地球から見て太陽と同じ方向にある時。内惑星は太陽の向こう側にある外合と、太陽の手前にある内合がある。いずれも太陽と同じ方向にあるため惑星を見ることはできない。

東矩・西矩・・・地球から見て外惑星が太陽から東側に90°離れて見えるときを東矩、西に90°離れて見えるときを西矩という。外惑星は東矩のころ夕方に南中し、西矩のころ明け方に南中する。

東方最大離角・西方最大離角・・・地球から見て内惑星が太陽から最も離れたとき。太陽に対して東側に最も離れたときを東方最大離角といい、日の入り後の西の空で内惑星が見える。西に最も離れたときを西方最大離角といい、日の出前の東の空で見える。

水星の最大離角は18°~27°、金星は45°~47°の範囲で変化する。最大離角の頃の内惑星は、太陽光が真横からあたって見えるので、半月状にかけている。

天文宇宙検定2級ノート 2章コラム

太陽活動の源

・・・太陽活動の源は、太陽の中心核で起こっている熱核融合反応。

太陽の内部で水素がヘリウムに代わる反応が起きている。反応の過程で、ガンマ線陽電子(電子の反粒子)、ニュートリノが生じる。

ニュートリノは太陽を素通りし逃げていく。陽電子は周囲の電子と衝突しガンマ線に転じるため、結局ガンマ線のエネルギーが太陽内部を伝わり始めることになる。

 

エネルギーの流れ

・・・中心部→放射層(数万~数十万年かけて通過する。)→対流層(数カ月程度で通過)→太陽表面へ。

初めはガンマ線だったエネルギーは、しだいに可視光や熱、ガスの運動のエネルギーへと変換する。

フレアなどの太陽活動の原因になる磁場も、エネルギーの伝達途中につくられる。

 

黒点の周期

・・・太陽中心ではエネルギーが一定の割合で発生しているはずなのに、その過程で作られる磁場(黒点)の発生率には周期的な変動がある。→太陽活動の11年周期

黒点の出現頻度と時系列を分布させた図はバタフライダイアグラム(蝶形図)と呼ばれる。

黒点の発生に周期性がある理由は解明されていない。

天文宇宙検定2級ノート 2章4節

太陽フレアとは

・・・太陽面で起こる爆発現象。複雑に交差する磁力線が、より簡潔な磁力線につなぎ変わることによって、蓄えられた磁場のエネルギーが様々なエネルギーへ変換される。

コロナ質量放出(CME coronal mass ejection)・・・フレアなどの太陽活動によって、太陽から大量のエネルギーやガスのような物質が太陽系空間へ放出される現象。コロナにある物質が放出されるため、コロナ質量放出と呼ぶ。

磁気嵐・・・CMEが地球に到達し、地球磁気圏のバランスが崩れること。発電所や変電所の電気機械が壊れて停電が起こったり、長距離の電波通信に障害が発生したりする。

太陽風・・・太陽から噴き出してくる電気を帯びた粒子(プラズマ)の流れ。主に水素やヘリウムの原子核や電子からなる。

CMEが発生すると爆発的に密度が高くなったり早くなったりする。大量の高エネルギー粒子(放射線粒子や太陽宇宙線)が地球へ降り注ぎ、人工衛星が壊れたり、宇宙飛行士が被ばくの危機にさらされたりする。

普段から地球に届く低速の太陽風は、活動領域とコロナホールの境界から噴出している。

オーロラ・・・太陽風の電子や陽子は、太陽風によってたなびく地球磁気圏の尾部にいったん捕らえられる。尾部の磁力線のつなぎ換えによって地球の極付近へ降り注ぐ電子や陽子が地球大気の外層にある窒素や酸素を励起して光を放つのがオーロラの原理。

 

ナノフレア・・・通常のフレアに対して非常に小規模の磁力線のつなぎ換えが起こすフレア。

スーパーフレア・・・大規模な磁力線によって起きるフレア。

べき乗則・・・小規模の事象は数多く起こるが、大規模の事象ほど件数が減る法則。フレアについても当てはまり、エネルギーが10倍になると頻度が10分の1になる。

最大級の太陽フレアより100倍大きいスーパーフレアは800年に1回、

1000倍大きいスーパーフレアは5000年に1回発生する可能性がある。

 

フォーブッシュ減少・・・CMEが地球へ到来する地球に降り注ぐ宇宙線の量が急激に減少する現象。発見者のスコット・フォーブッシュに由来する。CMEに伴う強い磁場が宇宙線をバリアするために起こると考えられている。

放射線・・・電磁波(ガンマ線、X線、紫外線)と粒子線(α線β線中性子、陽子)の総称。

太陽圏・・・太陽磁場の影響や太陽風の及ぶ太陽系の範囲。少なくとも100天文単位までがその範囲。

天文宇宙検定2級ノート 2章3節

コロナとは・・・太陽を取り巻く高温のプラズマガス。

・コロナはラテン語で王冠を表す。皆既日食中の太陽の周りのコロナが上から見た王冠に見えるため。

・彩層よりさらに上空に存在する、彩層より希薄なガス。

・ガスの温度は100万Kもある。

・温度が高いため、プラズマ(原子が電離した状態のガス)になっていて、高温のコロナからはX線が発せられている。

・太陽光球からの光の散乱光と、コロナ中の鉄などの輝線によって光を放つ。

・その輝きは暗く、明るいところでも満月程度のため普段は見られないが、皆既日食のときには肉眼で見ることができる。

 

コロナ加熱問題・・・光球よりも太陽から離れたところにあるコロナが、光球の6000Kよりはるかに高温である問題。

通常の熱伝導では説明できないため、太陽表面から熱エネルギー以外の形でエネルギーが運ばれて、コロナ領域で熱に変換されると考えられている。

太陽表面の磁気を利用した「磁気波動説」と、ナノフレアを利用した「ナノフレア説」が有力視されている。

 

コロナの種類・・・輝き方で呼び分けられている。

Kコロナ(Kontinuierlich:連続)・・・高温のコロナで電離した電子に、太陽からの光が当たって散乱された光。コロナの電子は5000km/s物光速で運動しているため、散乱する光はドップラー効果によって、太陽光に見られる吸収線はかき消されてしまう。そのため連続した光として光る。

Fコロナ(Fraunhofer)・・・吸収線(フラウンホーファー線)が見られるコロナ。惑星間空間に存在する微小な塵(ダスト)が太陽光を散乱したもの。

Eコロナ(Emission:輝線)・・・高温コロナ中で電離したイオンから放射される輝線で光っているコロナ

 

コロナホール・・・X線で見る太陽表面で、X線を放たず黒くなっている部分。太陽の磁場が開いたところで、高速の太陽風吹き出し口になっている。

X線輝点・・・コロナホールをX線で観測し見られる直径数千kmの小さな輝点。コロナに浮上した磁気ループ構造。

恒星コロナ・・・太陽以外の恒星にもコロナは存在している。恒星は遠いためコロナを直接観測することはできないが、コロナに特有のX線は観測されている。

天文宇宙検定2級ノート 2章2節

彩層・・・光球上空の高度約2000km~1万kmのガス層。

・温度は4000K~数万Kまで上昇し、さらに高層のコロナへ続く。

・太陽本体と同じく大部分は水素ガスだが、水素以外にも様々な元素の成分が含まれている。

・彩層を観察するには、特定の波長のみで観察する特殊なフィルターが必要。最も一般的なものが、水素原子が放つ赤色光によって生じるHα線(656.3nm)を透過するフィルター。

・Hα線で太陽を見ると、黒点の上空を再送のガスが覆っているため、大きな黒点以外はほとんど見えにくい。

・大きな黒点がある場所は、強い磁場が彩層を突き抜けて上空へ達しているため彩層にはガスが存在しにくく、黒点を見ることができる。

黒点周囲の活動領域の彩層は周囲よりも明るくなっており、プラージュと呼ばれる。

 

吸収線・・・太陽のスペクトル中に現れる黒い線。様々な元素が元素特有の波長の光を吸収するため暗くなっている。

輝線・・・元素が元素特有の波長の光を放射して明るい線となっているもの。

1868年にピエール・ジャンセンが彩層にオレンジ色の輝線を発見。この輝線に対応する元素が当時地上で発見されておらず、太陽にしかないと考えられたため太陽神ヘリオスにちなんで「ヘリウム」と命名された。

太陽の差動回転・・・太陽の自転の速さは緯度で異なっていて、高緯度ほど遅く回っている。

 

プロミネンス(紅炎)・・・彩層の上空に浮かぶガスの雲。

・英語で「突起物のような目立つもの」の意味。

・静穏型と活動型がある。

・静穏型は、数週間もの間形を保ち、その多くは太陽の自転とともに東から現れて西へ没する。

・活動型は、運動状態にあるプロミネンスをいう。太陽の縁では水平にたなびく構造として観測される。数分から数時間で形を変えたり消えたりする。

・Hα線で輝くため、太陽の縁にあれば明るく見える。

・太陽面上にあるときは、背景の太陽光をプロミネンスの冷たいガスが吸収するため、黒い筋として観測される。・・・ダークフィラメント

 

スピキュール・・・太陽表面に見られるジェット流。Hα線で彩層を見ると、太陽一面が筋のような模様でおおわれている。

ガスが噴き出す速度は毎秒30km程度。長さは6000km程度。1つのスピキュールは5分ほどで消滅しまた次の一筋が現れる。