天文宇宙検定2級ノート 1章3節

宇宙人探索の歴史

オズマ計画・・・史上初めて実行された宇宙人探索計画。1960年4月11日、フランク・ドレークが26m電波望遠鏡を用いて、宇宙人からの通信を受けようと試みた。

電波望遠鏡は、太陽近傍にある太陽によく似た2つの恒星(エリダヌス座ε星、クジラ座τ星)に向けられた。

アレシボメッセージ・・・1974年11月16日、プエルトリコアレシボ天文台の305メートル巨大電波望遠鏡から、2万5000光年離れたヘルクレス座球状星団M13へ向け、3分間にわたり始めて電波メッセージが発信された

メッセージはカール・セーガンらが中心となり作成した。素数・DNA・人間・太陽系などを表す内容で、2進数を利用した絵で表した。

 

宇宙人方程式「ドレークの式」・・・天の川銀河に存在する、電波を用いて地球と交信できるような宇宙文明の数を推定する式。アメリカの天文学者フランク・ドレークが考案。

 

宇宙文明の数N=R(*)×f(p)×n(e)×f(l)×f(i)×f(c)×L

R(*) rate of star 天の川銀河で1年間に誕生する恒星の数。

太陽のような星は1年間に20個程度生まれている。

f(p) fraction of planet 誕生した恒星の周りに惑星も同時に生まれる確率。

系外惑星の数は4400個を超えるため、この値は1としてよい。

n(e) number of environment 星の周りに惑星がいくつかある場合、地球上の生命に似た生命が発生し進化できる環境を備えた惑星の数。 太陽系では地球とぎりぎり火星だけなので、この値も1とする。

f(l) flaction of life 生命の存在に適した惑星の上で、実際に生命が発生する確率

f(i) flaction of intelligence 発生した生命が知的生命まで進化する確率

f(c) flaction of communication 進化した知的生命がほかの星へ通信を送れるほど高度な技術文明を発達させる確率

地球の実例で言えばどれも1。

L lifetime 発達した技術文明が実際に通信を送ることが可能な年数。

地球から宇宙への電波送信時間はすべて足し合わせても1年。

1年<L<文明の寿命と考えられる。

計算すると・・・N=20×1×1×1×1×1×(1~1億の間?)=20~20億個

文明の寿命に大きく左右される。

 

なぜ宇宙人に会えないのか

フェルミパラドックス・・・宇宙人がいるならどこにいるのか?という問い。エンリコ・フェルミが1950年に問うた。

銀河植民地化・・・宇宙文明が天の川銀河を植民していくこと。

銀河植民地化の速度計算

隣の星までの距離:10光年 移民宇宙船の速度:光速の10% とすると、

隣の星まで行くのに100年かかる。(10光年÷0.1)

人口を増やし、次の植民まで力を蓄えるのに400年かかるとすると、植民化を一つ進めるのに500年かかる。(100年+400年)

→植民の波は500年で10光年広がるので、植民化の波の速度は10光年÷500年=0.02光年/年。

植民の波が天の川銀河全体に広がるには、天の川銀河の広がり10万光年÷0.02光年/年=500万年しかかからない。

それにもかかわらず宇宙人に出会えない理由

・地球人以外の宇宙人はいない

・宇宙文明の平均寿命が非常に短い

・地球近傍が保護区になっている など

 

高度宇宙文明・・・現在の地球文明と比べ、技術的にはるかに進歩した文明。

旧ソ連のニコライ・カルダシェフは、エネルギー消費規模によって高度宇宙文明を3つに類別した。

・タイプⅠ:惑星規模のエネルギーを利用する文明。4×10¹²Wを消費。現在の地球文明。

・タイプⅡ:恒星規模のエネルギーを利用する文明。4×10²⁶Wを消費。ダイソン殻文明レベル。

・タイプⅢ:銀河規模のエネルギーを利用する文明。2.4×10³⁷Wを消費。

ワット(W)・・・1秒間に消費する電力。

 

ダイソン殻、ダイソン球

・・・太陽を球殻ですっぽり覆い、太陽エネルギーをもれなく利用するアイデア。1960年にフリーマン・ダイソンが提案。

地球に降り注ぐ太陽光の割合=地球の断面積÷地球軌道(1au)の半径の球の面積

=太陽の全放射の20億分の1

高度宇宙文明がダイソン球殻を開発すれば、球殻の内側の表面積は地表面積の10億倍のため、エネルギー問題も人口問題も一挙に解決する。